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生産緑地の解除で不動産価値が暴落!?2022年問題とは?

執筆者の画像飯島 敏輝

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2022年に首都圏、関西圏・中京圏の不動産価値が暴落すると言われています。

その背景にあるのが、「生産緑地」の指定解除(2022年問題)です。

不動産業界の間ではよく知られたこの問題ですが、そもそも生産緑地とは何か、指定解除されることでなぜ不動産価値が暴落するのかと疑問に感じる方もいるでしょう。

今後、不動産業界へ就職・転職する方は、不動産業界が抱える問題の一つとして2022年問題について知っておいたほうが賢明です。

そこで今回は、生産緑地の指定解除がどのようなものなのか、何が起きるのかなど、2022年問題についてご紹介していきます。

不動産業界が抱える2022年問題とは?

郊外の農地

2020年東京オリンピック閉会後の東京の地価に関して、さまざまな憶測が飛び交っていますが、それと同じく問題視されているのが2022年の生産緑地の指定解除です。

生産緑地とは、農林漁業を目的とした土地のことで、もっと簡単に言うと「農業以外の使用が認められていない土地(農地)」です。

そもそも生産緑地制度ができたのは、都市計画法によるもの。

大都市圏の都市計画区域には「市街化区域」と「市街化調整区域」があるのですが、前者は自然環境保全よりも宅地や商業施設の開発を目的とされる区域です。

当然、市街化区域内の農地は開発対象のため、政府は市街化区域の農地に対して宅地並みの都市計画税と固定資産税の支払いを決定しました。

固定資産税は農地の約100倍。税負担を強いることで宅地転用を前向きに検討するように促したというわけです。

しかし、税金はつらいが農業を続けたいという農家さんもいたため、税制面の救済措置として生産緑地制度(営農するなら30年間は農地課税で良いよと優遇を受けられる)を作りました。

その生産緑地の指定が解除されるのが、先から述べている2022年。

それ以降は、生産緑地である農地を宅地転用することが可能になります。

保有者が病気や死亡により営農できなくなった場合、市区町村の農業委員会に土地の買い取りを申し出ることが可能ですが、財政負担などを理由に買い取りを拒否される可能性もあるのです。

その場合、市区町村が買い手を斡旋(あっせん)するのですが、もしも「生産緑地として買う人=営農する人」がいなければ生産緑地の指定が解除されるため、支払う税額が一気に跳ね上がります。

そうなると、土地の維持ができずに一斉に土地売却が行われることが予想されます。

このことから、三大都市圏に多くの宅地が供給されることから需要と供給のバランスが崩れ、不動産価値が下がると危惧されているのです。

他にも、高齢化や後継者がいないことを理由に農家を廃業して土地を売却したいと考える方や、農地にマンションやアパートなどを建設する方も出てくるでしょう。

2022年問題は決して夢物語や対岸の火事ではないのです。

なお、生産緑地制度が適用されたのは首都圏・関西圏・中京圏の政令指定都市と、一部の地域です。

都市部の住宅地に農地があったら、半分以上は生産緑地だと思って良いでしょう。

不動産価値が下がるとどうなる?2022年問題の影響とは

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2022年問題によって不動産価値が下がると前述しましたが、それによってどのような影響が起こるのか気になる方も多いはずです。

そもそも、生産緑地がない地域は大きな影響を受けないでしょう。

問題なのは、都市部にある農地です。

地価が暴落すると、単純にこれから土地や家を買いたいと思っている方にとってはチャンスですが、逆に購入後に地価が下落するのは嫌だと考える方もいるでしょう。

また、生産緑地の周辺に不動産を保有している方は資産が減少してしまいますよね。

ただ、「宅地転用は限定的なので不動産市場への影響はわずかなもの」と推測する専門家の方もいます。

というのも、2022年問題の対策案として政府は2017年に「特性生産緑地指定制度」を創設しました。

これにより、生産緑地に指定されている農地を「特定生産緑地」にすることで、従来の優遇措置を10年間延長することが可能になったのです(10年後に再指定可能)。

さらに、生産緑地の指定要件である面積を500㎡以上から300㎡以上にしたことで、小さな農地も生産緑地に指定しやすくなっています。

また、農業に関係する施設しか建てられなかったのが直売所やレストランも建設可能になった他、農地を他の農家や事業者に貸せることが可能になりました。

自身で営農できない方、後継者問題などに悩む方も、農地のまま土地を保有しやすくなったため、大きな問題にはならないとされているのです。

しかし、大丈夫と判断するのは時期尚早でしょう。

確かに、生産緑地法の改正によって農地が一気に放出されるリスクは軽減されましたが、完全になくなったわけではありません。

全国の生産緑地の面積は13,442.0ha(東京ドーム2,922個分)です。

仮に半分が農業を続けたとしても、残りの6,721haは宅地転用される可能性が残っているので、規模の程度はあれども影響はあると考えておくほうが賢明です。

なお、2022年問題の影響を受けるかどうかは、その地域の生産緑地の面積から推測できます。

国土交通省のサイト「都市計画区域、市街化区域、地域地区の決定状況」から確認してみてください。

2022年問題で不動産価値が下落?主に影響を受けるのは"売りたい層"

住宅売却

2022年問題が現実になった場合、大きな影響を受けると考えられるのは、主に「不動産を所有している方」であり、後々「売却を検討している方」です。

2022年に生産緑地が売り出されるか、賃貸住宅が増えるかはまだ分かりません。

しかし、現実に地価が下がることになったら、想定した価格よりも安く手放すことになります。

また、賃貸住宅が増えた場合は、そもそも買い手がつかなくなる可能性があります。

とくに影響を受けるのは「ファミリー向け物件」です。

駅から徒歩10分圏内には生産緑地があるとは考えにくく、あるとするなら住宅地の密集する郊外です。

生産緑地の跡地にファミリー向けの賃貸物件ができた場合、すでに賃貸物件を所有している方にとっては空室リスクが増加し、賃料を下げざるを得ない状況になるかもしれません。

2022年以降の変化を見守ることはもちろん、「売れるときに売る」と即断即決する判断能力も必要になってくるでしょう。

まとめ

生産緑地の指定解除により地価が下落する、とされる2022年問題。

もちろん、100%そうなるとは決まっていません。

しかし、不動産業界に身を置くなら影響が出るかもしれないことを十分に理解し、先のことを見越して売却や購入の動きを把握しておきたいものです。

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このコラムを書いた人

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飯島 敏輝転職コラム編集長
同志社大学卒。いえらぶ不動産転職コラム編集長。 不動産会社専門のコンサルタントとしてキャリアをスタートし、賃貸・売買・管理・投資と業種を問わず、100社超を担当。 企業のソリューション提案を強みとし、 特にWEB制作による集客力改善・1人当たりの営業利益アップ型業務効率化などを提案実施してきた。 現在はその知見を活かし、不動産会社で活躍したい人向けの転職相談を行っており、年間数百名を超える転職相談を行っている。

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