建築業でかかせない積算業務！見積もりとの違いは？

いえらぶ不動産転職のコラムでも度々紹介している積算のお仕事。

積算の主な仕事内容は、工事費の計算や見積書の作成など、工事全般に関する費用を算出することです。

工事をするうえで費用の算出を避けては通れません。

そのため、積算業務は建築業、工事業などではかかせない存在となっています。

今回は、そんな積算の仕事内容について少し掘り下げて解説していきます。

積算の仕事が必要な理由とは？見積もりとの違いは？

積算のなかでも、とくに建築に関する積算を行う仕事を建築積算といいます。

建築積算は、あらゆる建設工事において重要な役割を担っているんです。

なぜなら、建設業者は、予算をもとに建築可能な案件かどうかを判断するから。

ある建物をたてる際に、どれだけのコストがかかるのか前もって予測しておくのは不可欠なことなのです。

積算でその費用を算出しますから、積算がなければ工事をするかどうかの判断もできないのです。

また積算は、コストの判断だけでなく、工事の透明性を確かめる上でも大切な業務。

積算はすべて数字に基づいた根拠をもとに算出されるため、工事における曖昧な部分をはっきりさせられます。

つまり積算がしっかりしていると、工事における信頼性も高まるのです。

詳しい仕事内容については後述しますが、その業務は専門性を求められるものといえます。

そのため、積算のプロが集まる「積算事務所」だけで会社が成り立つほどニーズがあるのです。

積算業務を外部に委託しない場合、社内に「積算部」をおいている会社も珍しくありません。

このように積算は、建築における重要な役割を担っており、費用の算出においてかかせない存在といえるでしょう。

＜積算と見積もりの違いとは＞

見積もりは、積算より耳馴染みのあるワードかもしれませんね。

どちらも費用を算出することは同じですが、見積もりの前段階にあるのが積算の仕事です。

積算で材料費や人件費などの工事全体の費用を算出。

そして、積算をもとに利益を上乗せしたのが見積もりです。

見積額は発注者に提示します。

発注者にとって見積額は、予算と照らし合わせる際に大切な判断材料となります。

積算は、その見積もりを正確に出すためにも重要なんですね。

積算と見積もりを分けて考えるのではなく「見積もりを出すために積算も大切」と整理するとよいでしょう。

見積額の算出も、積算の仕事に含まれていることがあります。

切り離して考えるのは難しいですね。

積算の仕事内容を一連の流れでご紹介

積算の重要性がわかったところで、ここからは仕事内容について掘り下げてみていきましょう。

積算事務所や社内の積算部ではたらく方たちの、一連の業務をご紹介します。

・積算に必要な書類を手に入れる

仕事を受注したら、まずは書類集めです。

積算業務で必要な書類は、「質問回答書」「現場説明書」「特記仕様書」「設計図書」「標準仕様書」など。

つまり、図面や仕様書といった建築に必要な情報が載っている書類になります。

これらは工事の概要や敷地面積、配筋の詳細、機器のリストなどが載っており、業務を進めるうえで大切な資料なのです。

積算の仕事は、数字を読み取って算出することですから、個数や寸法といった工事に関する数字を把握するのは大切だといえます。

積算を始める前に、これらの資料を発注者側から受け取ります。

・書類から内容を読み取る

書類が集まったら、それぞれの内訳の内容を読み取ります。

・建物の構造や面積

・敷地の形や道路との境界

・柱や梁の位置や本数

・木製ドアやステンレス窓といった建具のリスト

・空調のダクトに関するリスト

これらが図面などから読み取れるものです。

ここに記載しているのは一部なので、実際はさらに膨大な量の情報を読み取る必要があるでしょう。

ほかにも、仮説や土の掘削量といった図面から読み取れないものは、施工計画書から読み取ります。

そのため、積算では付随する資料も見逃せません。

また、使う木材は図面から読み取れても、加工した切り無駄は資料からわからないこともあります。

このように不明点が生じた場合は、質問して情報をクリアにしていくのも積算の仕事内容のひとつです。

メールや文書で質問をし、施工の細かい内容を聞き出します。

発注者側と認識のズレがあると、数字となってその差が現れてしまいます。

たとえ小さな数字だとしても大規模な工事になればなるほど、数字のズレは大きくなっていくでしょう。

このミスを防ぐためにも、工事における不明点は質問と回答内容によって透明化していくのです。

与えられた書類からのみ仕事を完結させるのではなく、自らコミュニケーションをとって正確に仕事をすすめる勤勉さが大切になります。

また、会社の利益を考え、積算自ら材料の単価交渉をする場合もあります。

その際にも、各業者さんとのコミュニケ―ションが重要な要素となってきます。

・計算して集計表や内訳書を作成する

まとまった書類から数量を算出します。

数量や単位、単価などの細々としたものをすべてかけ合わせていく作業ですね。

それらを「計算書」や「工種別集計表」、「部位別集計表」といった書類にまとめていきます。

現場管理費や共通仮設費、消費税なども全て合わせて計算しますよ。

書類は依頼主に納品する大切なものですから、ここで記載にミスなどがあっては困ります。

そのため積算の仕事内容でも、特に気を遣う場面といえそうです。

数量の算出自体は、それぞれ分担することも珍しくありません。

しかし、集計の段階では互いにダブルチェックをするなどして、ミスがないよう徹底しています。

・見積もりを出す

先に述べたように、見積額を算出するのも積算の仕事内容に含まれることがあります。

全ての積算ができたら、発注者への見積額の提示をいくらにするか検討します。

このとき、一般相場や会社の利益を考える力が必要です。

これらは、目の前の書類にある数字から読み取れることではありません。

日頃の業務で培ってきた感覚や勉強した知識、今の日本の経済状況などを考量しなければならないのです。

仕事内容は難しいですが、その分やりがいもあるでしょう。

・発注者に納品して完了

積算の仕事は計算するだけではありません。

その結果を書類にまとめて、提出するまでが仕事です。

計算書や内訳書などの成果物はもちろん、積算に用いた図面などの書類も返却します。

最近では、パソコンでのデータ上のやり取りが増えてきており、メールやドライブ上での納品・返却が多いでしょう。

これらが積算の仕事内容です。

工事を進めていく際に赤字が出ないよう、正確な計算力が求められる建築積算。

仕事内容の一連の流れは、どれをとっても勤勉さが求められるものだといえますよ。

まとめ

建築は食べ物の製造などと異なりひとつひとつが違う場所、材料、労務で成り立っています。

これらを全て数字で表現するのが積算です。

積算は建築をするうえでとても重要な業務なのです。

専門性が高く、その分知識やスキルも求められますが、大きな工事を成功させたときのやりがいは大きなものといえるでしょう。

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