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転職する際、履歴書のほかに職務経歴書を提出しなくてはなりません。
履歴書とは違い、職務経歴書は書式やフォーマットが自由なので、「書き方に迷う」「どうやって書けば良いか分からない」という方も多いでしょう。
中途採用において、職務経歴書の書き方が原因で採用に至らなかった、というケースも珍しくないため、書き方をマスターしておくことが重要です。
今回は、建設業界にスポットをあてて、職務経歴書を書く上でありがちな失敗例と、転職を成功へと導きやすくする書き方のポイントなどをご紹介します。
失敗の原因は履歴書との混同?履歴書と職務経歴書の違いを押さえる
履歴書も職務経歴書も、過去の経歴を見る点では同じと言えますが、細かく見ると目的が異なっています。
履歴書は、「通勤可能の範囲内に住んでいるか」「学歴や経歴(職歴)はどうか」「志望した理由(応募動機)は何か」といった、形式的なことを見るための書類です。
それぞれに項目が設けられており、それらを埋めるだけで良いため、余程のことがない限り書き方に迷うことはありません。
一方、職務経歴書は「経歴やスキル、実績が当社とマッチしているか」「自分の強みを理解しているか」といった、能力面が見られています。
自由なフォーマットを使い、自分の強みをアピールしなくてはならないため、初めての転職で戸惑う方も少なくありません。
職務経歴書は、履歴書よりもより深い内容を求められています。
履歴書にピンとこなくても、職務経歴書を見て会ってみたいと思う人事(採用担当者)は少なくないため、しっかりと本質を理解してまとめることが望まれます。
失敗例①「会社の募集要項と職務経歴書の実績が一致していない」
最も多い失敗例が、志望する企業やポジションにそぐわない、見当はずれの経歴やスキルを書いているケース。
前述したように、職務経歴書はその人の持つ経歴やスキル、実績が会社とマッチしているかを判断する書類です。
そのため、企業の仕事や業務、事業などと関係がない見当はずれなスキルを並べても、「凄い」とは思ってくれるかもしれませんが、「うちに欲しい」とは思われない可能性が高いでしょう。
逆に、見当はずれな内容をアピールすることで、「趣旨を理解できていない」というマイナスのイメージを持たれてしまうおそれもあります。
さらに企業とマッチしていても、経歴やスキル、実績をただ羅列するだけでは、あなたの魅力は伝わりません。
ただ事実をあげつらうのではなく、あなた自身の強みが伝わるような内容の濃い職務経歴書を作成することが大切です。
とはいえ、職務経歴書はたくさん書けば良いというものではありません。
むしろまとまりのない冗長な職務経歴書は、「要所を把握してまとめる力がない人」とマイナスの評価につながりやすくなるので避けるべきでしょう。
自分を客観視できない方、話を端的にまとめるのが不得手な方、文章を書くのが苦手な方は、自分の魅力をアピールする前に書類審査で落とされてしまうかもしれません。
自分の書いた職務経歴書の問題点を洗い出し、より良い職務経歴書にするためにも、転職エージェントや周囲の方に見てもらうことをおすすめします。
失敗例②「職務経歴書のレイアウトが悪い」
どんなに経歴が華々しく、多様なスキルを身に付けていても、職務経歴書のレイアウトが酷く読みづらいと、あまり良い印象を持たれません。
これはプレゼンテーションにも言えることですが、話していることやスライドの内容を理解してほしいのは、あくまでも"人"ですよね。
同様に、職務経歴書を見るのも "人"です。
例えば、句読点もなく、改行もせず、ずっと文章がつらつらと記載されている職務経歴書を読みやすいと感じる方がどれほどいるでしょうか。
1~2行程度なら問題ないでしょうが、それ以上になるとごちゃごちゃしてしまい、粗雑な印象を与えかねません。
フォーマットが自由な職務経歴書だからこそ、
・適宜、改行をする(3行に1回程度)
・文字装飾を施す(太字を使って見出しを設ける など)
といった工夫が必要なのです。
自分が読み手の側に立ったときのことを考えて、書類づくりをすると上手くいくでしょう。
失敗例③「職務経歴書に専門性がない」
職務経歴書に意外と多いのが、誰でも書けるような無難な内容を書いているケースです。
例えば、「コミュニケーションスキルが高い」「明るくて前向きに物事に取り組める」「冷静沈着に業務を遂行できる」などをアピールしても、抽象的すぎて裏付けが難しいですよね。
スキルをアピールする場合は、相手に良さが伝わるように書くことが大切です。
過去に所属していた企業、請け負っていた業務、保有資格などの専門的なスキルを裏付けるものも述べれば、「〇〇業務・〇〇事業に役立つ人材かもしれない」と思わせることができます。
また、建設業界でもIT化が進んでいるため、電気工事やCAD(Computer Aided Design:設計支援ツール)といったスキルも優遇される傾向にあります。
新しい技術に関するスキルや知識を持っているとアピールポイントとなるため、専門性の高い能力においては職務経歴書に積極的に記入しましょう。
失敗例④「職務経歴書に書く志望動機に問題がある」
職務経歴書において、志望動機はとても重要な項目です。
「履歴書にも書くし、そこまで神経質にならなくても…」と思いがちですが、職務経歴書でより詳しく書いたり、別の角度からアプローチしたり、将来のビジョンを書いたりすると、より思いの深さが伝わります。
逆に、志望動機の内容に問題があると、職務経歴書全体の評価を下げてしまうことになりかねません。
例えば、志望動機が他の会社にもあてはまるような内容なら説得力がない文章になります。
また、働きやすさや賃金など労働条件に関する内容に終始した場合、会社から良い印象を持たれることはありません。
「自分が働く上で何を成し遂げたいと思っているか」
「その企業であればそれが実現できると思った理由」
「その企業で描く将来のビジョン」
これらのように、熱意が伝わるような内容の志望動機を書くことが大切です。
失敗から学べ!建設業の職務経歴書の書き方
建設業の場合、経験者というだけで一定レベルの評価は得られるでしょう。
しかし、職務経歴書がしっかり書けていないと書類審査で落とされてしまう可能性があります。
ご紹介した失敗例を踏まえながら、書き方のポイントを解説します。
・管理業務経験をアピールする建設業、建築業、土木業のどれにも言えることですが、管理業務や現場監督の経験は述べたほうが賢明です。
予算管理や工程管理、安全管理や品質管理、人員管理に関するスキルは、建設業界では欠かせないもの。また、現場監督のように危険な現場で人をまとめるスキルは、経験を積まなくては身に付きにくいものと言えます。
これらの経験は自分の強みになるので、資格の有無や実務経験と合わせて伝えましょう。
・専門スキル有無と実務経験のエピソードを書く建築技術や建築関連法規に関する知識、CADなど、専門的な知識や技術、スキルをアピールすることはとても大切です。
しかし上記でも述べたように、スキルの裏付けがないと信頼性は低いまま。あなたに対する期待値は高まりません。
そのため、専門スキルの有無と合わせて実務経験をしっかりと書きましょう。
例)
<習得した技術>
AutoCAD CS-CAD JW-CAD
<工夫・改善点・仕事の姿勢>
入社後にAutoCADのバージョンが変更になりましたが、自主的に学び、実務レベルで問題なく対応できています。
現場にも足を運び、手書きでフロアの概略を記載。計測後のデータをもとに平面図をCAD化しました。現場を見る経験から、より具体的なイメージを持って作業ができるようになりました。
なお、職種が未経験でも関連業界での経験があれば十分魅力をアピールできます。
会社によっては未経験スタートを後押ししているところもあるので、経験不足を補う熱意を伝えましょう。
・コミュニケーションスキルの有無建設業界は施主や現場のスタッフと話す機会が多くあるため、コミュニケーションスキルが非常に重視されます。
しかし、ただ「コミュニケーションスキルがあります」と言っても、採用担当者には響かないでしょう。
コミュニケーションスキルがどう業務に活かされたのか、という成功エピソードを合わせて伝えることで、より具体的にあなたの良さをアピールできます。
・専門用語の羅列を控えて分かりやすい内容に仕上げる職務経歴書は、誰が見ても分かりやすい内容であることが望まれます。
というのも、同業種への転職であっても、全ての人が同じ知識を有しているわけではありません。
例えば、採用担当者が人事のプロフェッショナルでも、建設業界の知識を有し、専門用語を全て理解しているとは限りませんよね。
専門用語を自分の中に落とし込み、誰にでも理解できる言葉に変換すれば、ストレスなく見られる(読める)職務経歴書に仕上がります。
また、相手が建築の専門用語を理解している方でも、かみ砕いて説明することで「ちゃんと知識を身に付けている人」「深く理解できている人」とプラスの評価を得られやすくなるのです。
職務経歴書の次は面接対策!失敗しない方法とは?
職務経歴書が書き終わったら、次に考えるべきは面接対策について。
中途採用の面接では、「どんな服装で行けば良いか」「どのような質問をされるのか」などの疑問を持つ方が多いので、寸前で迷わないためにも、できるだけ早くから面接対策をしておきましょう。
まず服装についてですが、建設業界の中途採用面接では、会社側から「スーツ着用」「ジャケット必須」などと指定がない限り、これといって決まりはありません。
ただし、ジャージやスウェットなどのラフすぎる服装は心象が悪いため避けるのが賢明です。
服装で悪い印象を持たれるのは勿体ないので、不安な方はスーツを選ぶと良いでしょう。
さらに、面接の質問ですが、職務経歴書に書いた内容を聞かれることが多い傾向にあります。
「前職でどのような業務をこなしたのか」「自分の強みはどこか」などを、職務経歴書に書いた内容にプラスして、口頭でもしっかりと伝えられるようにしておくことが大切です。
前職も建築業界で働いていた方は、述べる成果が分かりやすく自己PRになりますが、他業種から建設業界へ転職を希望される方はそのまま伝えても魅力が分かりにくいかもしれません。
建設業界でも役立ちそう、戦力になれそうと思われることが大切なので、仕事を通して学んだこと、身に付けたスキルを述べる際は工夫しましょう。
加えて、他業種から建設業界へ転職を希望した場合、転職理由を質問される可能性が高いので、そこもしっかりと答えられるように対策を練ることが望まれます。
これまでの経験や自分自身の強みはもちろん、「この会社でどう成長していきたいか」「この会社で自分が何に貢献できるのか」といった将来のビジョンについても説明できるようにしておくと良いですね。
発言に説得力を持たせられれば、採用担当者の目にとまる可能性はぐんと上がります。
なお、建設業界は「長く働いてくれるかどうか」という点を重視する傾向にあるため、面接ではそうした熱意が伝わるような受け答えを意識しましょう。
まとめ
職務経歴書の失敗例と、書き方のポイントをご紹介しましたが、「絶対に不採用になる!」「絶対にこうすべき!」といった確固たる正解があるわけではありません。
だからこそ悩むこともあるでしょうが、最大限工夫しながら、あなたのやる気や熱意が伝わるような職務経歴書にしていきましょう。
ご紹介した内容が、職務経歴書を書くときや面接時の一助になれば幸いです。
このコラムを書いた人
- 飯島 敏輝転職コラム編集長
- 同志社大学卒。いえらぶ不動産転職コラム編集長。 不動産会社専門のコンサルタントとしてキャリアをスタートし、賃貸・売買・管理・投資と業種を問わず、100社超を担当。 企業のソリューション提案を強みとし、 特にWEB制作による集客力改善・1人当たりの営業利益アップ型業務効率化などを提案実施してきた。 現在はその知見を活かし、不動産会社で活躍したい人向けの転職相談を行っており、年間数百名を超える転職相談を行っている。
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