不動産の事務と聞くと、電話の取次ぎや来客のお茶出しなどをイメージされる方が多いのではないでしょうか。
数年前に、初めて不動産業界に転職した私もそのようなイメージを持っていました。
しかし、いざ入社すると、上述のような仕事もあるにはありますが、他にも様々な業務がありました。
ここでは、不動産業界未経験の私が、初めて不動産業の事務に転職して感じたメリットやデメリットについて、実際の業務内容と合わせてご紹介します。
不動産業界の概要
不動産業にはいろいろな業種がありますが、主流となるのは不動産仲介業です。
不動産仲介業は賃貸・売買のジャンルに分かれ、賃貸の中でさらに管理業と仲介業とに分かれます。
私が転職したのはハウスメーカーの賃貸部門で、ジャンルとしては管理業に属する会社でした。
不動産事務の仕事内容と特徴
賃貸(管理業)における不動産事務の主な仕事について説明します。
・契約書の作成
メインとなる業務です。私が仕事をしていた会社では、自社で所有している物件を賃貸していたので、その契約書(賃貸借契約書)の作成になります。
お部屋探しのお客様は、仲介不動産業者を通して申し込みをされることがほとんどです。
業務の流れは、お客様からの申込み→入居者の審査→契約成立、となります。
お申込み後、無事に入居者審査をクリアしたお客様の契約書を作成し、お客様を連れてきてくれた仲介不動産業者へ渡します。
契約書や重要事項の説明は基本的に自社で行うのではなく、申込を受けた(お客様を連れてきた)仲介不動産業者が実施します。
・部屋の不具合問い合わせ
次に、入居済みのお客様からの、部屋の不具合の問い合わせに対応します。
たとえば、
「廊下などの共用部分の電気が切れている」
「部屋の水道の蛇口から水が出て止まらない」
「備え付けのエアコンが効かない」
などです。
電話やメールでのお問い合わせがほとんどで、基本的には不具合の箇所を聞き取り、協力業者へ修理依頼をすれば業務は完結です。
しかしなかには、入居直後に不具合があった、不具合がいつまでも続いている、などの理由でご立腹のお客様もいらっしゃいます。
そのような時には、丁寧に対応し、十分にお詫びを申し上げて早急に修理手配の対応をすることが必要です。
・クレーム対応
上述のような部屋の不具合でクレームになることもありますし、隣室や上下室など、ご近所トラブルでのクレームもしばしばあります。
「上階の足音がうるさい」「隣の部屋の音がうるさい」「ゴミ出しのマナーが悪い」など内容は様々ですが、お客様がお困りになっていることには変わりありません。
そのようなクレームが来た場合は、注意喚起のビラを作成したり、物件の担当営業に報告して直接クレームの元になっている入居者へ連絡をしたりするなどの対応をします。
状況によって対応方法は異なりますが、いずれの場合も早急な対応が必要です。
最初はお客様のクレームに戸惑うこともありますが、慣れてくるとつらいと感じることも少なくなり、上手に対応することができるようになります。
転職して感じた不動産事務のメリット・デメリット
どの職種でもメリット・デメリットはあるかと思いますが、転職後に私が感じた不動産業のメリット・デメリットは以下の通りです。
<メリット>
・物件に詳しくなる
女性の中には、間取りを見るのが好きという方もいらっしゃるかと思います。
不動産会社で働いているともちろん毎日、間取りや物件を見ることができます。
・休みがあらかじめ決まっているため、プライベートの予定が組みやすい
不動産業は、一部の大手の会社などでは土日を休みにしていますが、昔からの慣習で水曜日が休日のところが多いです(「契約が水に流れる」ことがないよう、水曜日を避けて契約を結ぶことが多いため)。
これまでシフト制の職種の場合、翌月以降の出勤状態が不明確な場合も多く、なかなか予定を組むことができませんでした。
しかし、現在は、水曜・日曜が固定で休日なので、プライベートの予定が組みやすいです。
<デメリット>
・資格の取得が必要な場合がある
もちろん不動産会社にもよりますが、事務であっても「宅地建物取引士」や「賃貸不動産経営管理士」など、業界の資格の取得を求められる場合があります。
簡単に取れる資格ではないため大変ですが、今後必ず役に立つ資格です。
資格取得のメリット
不動産業界が未経験であっても、事務経験がある方にとって働きはじめやすい職種だと思います。
もちろん不動産事務経験があれば、さらに歓迎されるでしょう。
たとえば、不動産事務に携わっている間に「宅地建物取引士」の資格を取得すると、不動産仲介業の営業職にも転職できるかもしれません。
宅建士の資格を取得すると、次のようなメリットがあります。
・重要事項説明ができる
重要事項説明とは、売買契約や賃貸借契約を結ぶ際に、買主や借主に対して物件情報などについての説明をする大切な業務です。
この重要事項説明は、宅建士の資格を有する者しか行うことができないと宅建業法で定められています。
・資格手当がもらえる場合がある
宅建士の資格手当を持っている場合、給与にプラスして資格手当をもらえる場合があります。
会社にもよりますが、資格手当として月に2~3万円支給している場合が多いです。
また、不動産業を営むためには、5人に1人の割合で宅建士を置かなければならないので、宅建士が足りていなければすぐに補充をする必要があります。
よって、「宅建士急募」の会社に応募すると、採用される率が高くなるのもメリットだといえるでしょう。
まとめ
業界未経験の私が実際に感じた、不動産業の事務で働く事のメリット・デメリットをご紹介しました。
資格取得の勉強は確かに大変ですが、資格は一生ものなので、仮にそこから同じ業界に転職する際にも大きな強みになります。
未経験から不動産業界への転職を検討している方は、ぜひ不動産事務にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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このコラムを書いた人
- 長谷川 七海
- 駒沢大学卒。不動産会社勤務のかたわら、ライターとして活動。 もともとは別の仕事をしていたが、数年前に不動産業界へ転職し、不動産事務としてのキャリアをスタート。自身の経験を活かし、不動産業界や建築業界を目指す女性に役立つ情報を発信している。
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