労働基準法上、退職を伝える時期は?手続きの流れを解説
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転職活動を行うのであれば、考えなければならないことがあります。それは、今勤めている会社への退職の伝え方や手続き方法です。
退職の手続きの詳しい流れは会社によって異なりますが、ここでは法律上の退職に対する届け出の期間や手続きについて解説します。
退職届の提出は労働基準法や民法上どの程度期間が必要?
会社を辞めると決めたら、退職届を提出し、会社に退職の意思を伝えなければいけません。
退職に関する規定は、労働基準法ではなく民法によって定められており、契約期間が定められているかどうかで異なります。
・労働期間が定められていない契約の場合
通常、正社員やアルバイト(季節社員を除く)、パートなどの場合は、ほとんどが期間の定めのない契約なので、「期間が定められていない雇用契約」に該当します。
この「雇用期間が定められていない契約」の労働者は、退職希望日の2週間前までに伝えれば退職が可能です。
会社の規定などで、退職は2か月前や6か月前までに申告する旨が定められていることもありますが、会社の規定よりも民法の方が優位となるため、2週間前に伝えれば大丈夫ということになります。
しかし、可能であれば、なるべく会社の規定に沿いながら、前もって退職の意向を伝えておく方が、トラブルが発生しにくいと言えるでしょう。
・労働期間が定められている契約の場合
一方で、「期間の定めのある雇用契約(有期雇用)」の場合は、原則、契約期間をまっとうしなくては退職することができません。
しかし、やむを得ない事由によりどうしても退職せざるを得ない場合は、すぐに退職することが可能であると民法で定められています。
この「やむを得ない事由」の線引きが難しいところですが、妊娠や出産、体調不良、急な介護などは該当します。
そのほか、会社側の賃料未払いや規定以上の勤務時間強要などのケースも、やむを得ない事由と認められます。
退職の手続きで会社とトラブル!労働基準法上や民法上の手続きは?
退職の意志を伝えた場合、会社とトラブルになるケースがいくつか考えられます。
ここでは主だったトラブル内容を3つ挙げ、労働基準法や民法から見て、会社側と退職者側、どちらの言い分が認められる場合が多いのかを紹介します。
・会社が退職を認めない場合
会社に、退職を認めない権利はありません。
逆に雇用されている社員には、会社を辞める(退職する)権利があります。
このような場合は、1か月以上前に退職の意思表示を示しておきましょう。
退職届を内容証明と配達証明を付けて郵送する、上司や人事にメール送るなど、退職の意思表示をした証拠を残しておくことがポイントです。
・退職を決めた後に有給休暇を取得させてくれない
有給休暇は労働基準法上、雇用者に与えられた正当な権利です。
会社の許可を得る必要はありません。よって、退職する、しないにかかわらず、有給休暇を取得することは可能です。
本来は、有給を取る理由を伝える必要もないので、堂々と有給休暇申請を行って問題ありません。
会社が有給休暇申請を認めない場合は、労働局や労働基準監督署などに相談することをおすすめします。
・会社に借り入れがあり、会社に対する借金を理由に退職を拒否される
マイホームを建てた際、会社から借り入れをしたなどの理由で、会社に対して借金がある場合があります。
借金を理由に退職させないということは不可能で、労働基準法では会社へお金を借り入れていることを理由とする退職の拒否は禁じられています。
「退職後に返済する」ということを前もって打合せしておけば、退職の支障となることはありません。
会社への借入金があることを理由に退職が認められないような場合も、労働局や労働基準監督署の相談窓口に行くことをおすすめします。
退職手続きの流れ
退職届は、基本的に会社の規定に沿って出しましょう。
しかし、転職先との兼ね合いもあり、急いで転職する必要がある場合があります。そのような場合は、最短では2週間で退職できます。
しかし、なるべく円満に退職することを心がけましょう。
そして、引き継ぎやお客様へのあいさつ回りを行い、退職となる流れが一番スムーズです。
その後、すぐに転職しない場合は、失業保険の申請を忘れないように心がけましょう。
退職手続きの流れをまとめると、以下のようになります。
・退職の意思を会社に伝える
できるだけ会社の規定や社則に沿って、決められた期間の前に退職届を提出します。
どうしても急に退職しなければならない場合は、民法に則って、最低でも退職希望日の2週間前に退職届を提出しましょう。
・退職届を提出してからの有給休暇について
退職届の提出後、有給休暇を取得することは可能です。
しかし、有給休暇が何日も残っている場合は、退職届を提出してから退職希望日までに消化できないことがあります。
そのようなことにならないように、退職届を考える際には、有給休暇の消化スケジュールを検討しておくことをおすすめします。
・退職時のトラブルについて
退職届を受け付けてくれない、有給休暇を取らせてくれないなどのトラブルが起きた場合は、労働局や労働基準監督署の相談窓口で相談しましょう。
・退職後の失業保険の申請について
退職後、転職先が決まっていない場合は、失業保険を申請する必要があります。
会社の事由による失業の場合は退職してすぐに、自己都合による退職の場合は、3ヶ月の待機期間後に失業保険が給付されます。
失業保険を申請する場合は、忘れないように職業相談所(ハローワーク)に行き、申請をしましょう。
まとめ
退職の手続きを行う際に、会社の規定が民法や労働基準法とは異なる場合があります。
会社の規定は、労働者側に不利な内容の場合も多く、退職する社員とトラブルになるケースも少なくありません。
しかし、会社の規定や社則よりも、民法や労働基準法が優位になることを覚えておくことで、有利に退職手続きを進められることがあります。
なるべく会社と円満に退職できるように努力をしつつ、どうしてもそれが難しい場合は法的な内容を把握しておきましょう。
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